鐘の囁き

バッハからパガニーニに至るバロック~初期ロマン派のヴァイオリン作品における繰り返しモチーフや絡み合う旋律、華麗な技巧が世紀を超えてなお私たちを惹きつける理由を探る考察です。

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概要 #

バロックから初期ロマン派のヴァイオリン作品――バッハの二声のインヴェンション、ミケーレ・マシッティのソナタ、パッヘルベルの『カノン ニ長調』、そしてパガニーニの「ラ・カンパネラ」――を再び手元に迎えました。繰り返し現れるモチーフや絡み合う旋律、そして華麗な技巧が、数世紀を経てもなお私たちを魅了し続ける理由を探ります。

幼少期の余韻 #

幼い頃、家の中に流れるバッハの二声のインヴェンションは、まるで美しい対話のように耳に残りました。その後しばらく離れていましたが、深く意識することなく心に刻まれていたことを、最近になって改めて実感しました。

パッヘルベルの『カノン ニ長調』 #

パッヘルベルの『カノン ニ長調』は、低音パートの8小節のオスティナート(持続的な伴奏)をベースに、3本のヴァイオリンが繰り返し変奏を重ねる形式で構成されています。その穏やかで喜びに満ちた響きは、バロック作品の中でも特に親しまれています。

マシッティのヴァイオリン・ソナタ #

ミケーレ・マシッティのヴァイオリン・ソナタは、イタリア風の温かみとフランス風の優雅さを兼ね備えています。1738年にパリで出版されたこれらの作品は、華美すぎず程よい技巧性をもちながら、常に新鮮な魅力を放っています。

パガニーニの「ラ・カンパネラ」 #

パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調作品7の第3楽章にあたる「ラ・カンパネラ」は、その題名どおり鐘の音を思わせる高音域のハーモニクスと躍動感あふれる跳躍で知られています。1826年の作曲以来、多くの演奏家を魅了し続けています。

絶え間ない驚き #

これらの作品に隠された難解な謎はありません。ただ、当初に生まれたモチーフの繰り返しや変奏、そして華麗な技巧が、現代の私たちの耳にも新鮮に響く不思議さがあります。シンプルな低音の繰り返しや鐘のようなモチーフが、どうしてこれほど心を動かすのか――その問いが、再び演奏に耳を傾けさせる原動力となっています。